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【第5回】Rajshree Pathy氏 Rajshree Group of Companiesチェアパーソン兼マネージングディレクター vol.2

Date 2019.07.16

インド経済界を代表する女性経営者で南インド大企業のオーナーでもあり、KAMA AYURVEDAの化粧品の会社を2002年に立ち上げた創業者としても知られるRajshreeさんが来日するとKAMAの社長から連絡を受け東京でお目にかかる機会を得ました。6月と7月にそれぞれ3日間づつ滞在されましたが、初めてお目にかかったときからすっかりその温かい人柄と聡明なお話にすっかり魅せられてしまいました。

現在はシンガポールとインド半々の生活を送り、8代続く砂糖産業の会社、自動車、繊維の会社の経営をしながら、Design India FoundationというTEDに似た非営利の財団をつくりデザインやアートの活動にも力をいれられています。

今回KAMAを立ち上げた経緯を含めRajshreeさんの考えるWell-BeingとHappinessに関してインタビューをさせていただきました。

谷家理香氏 株式会社ウェルビーイングTOKYO代表取締役
【第1回】高橋百合子氏 E.OCT株式会社代表取締役
【第2回】エドワード鈴木氏 鈴木エドワード建築設計事務所代表
【第3回】日沖健氏 日沖コンサルティング事務所代表
【第4回】杉山文野氏 トランスジェンダー活動家

India Design Forum (IDF)設立


私はインドのデザインに世界とのプラットフォームを作りたいとおもいIndia Design Forum (IDF)を設立しました。私が思うに、インドはクリエイティブな思考を失ってしまいました。インドには何千年にもわたる手仕事やアートの積み重ねがあります。コンテンポラリーなアートのアイデアも実はとてもゆっくりと心思い浮かんでくるものです。伝統的な手仕事やアートはそれぞれの地域や社会に根ざしたものです。インドは地域ごとにとても多様です。北部のほうで見られる彫像とかは他の地域では全く見られなかったり、貿易によって中国からもたらせれたものの影響が見られる地域もあります。インドはとても広いこともあって本当に様々なんです。

インドにはものすごくたくさんの工業製品の消費者がいます。そしてたくさんのデザイナーが必要ですけれども、インドにはたった5つしかアートスクールがないのです。


谷家:それはまた極端に少ないですね。インドではデザインやアートを勉強しようとしたらどうするのですか?

Rajshree:インド国内の学校にいきますけれど、場合によっては海外にでますね。中国には100以上ありますし、アメリカにはもっとあります。そのあとインドに戻ってきます。だから私はインドにデザインというアイデアをもっと入れたかったのです。デザインシンキングの考え方です。

谷家:デザインシンキングは私達が立ち上げた軽井沢インターナショナルスクールでもキーになるコンセプトでした!面白いですね。私の中のインドのイメージはIT大国です。デザインというイメージはあまりないですよね。

Rajshree:デザインは工業製品であってもトラディショナルなクラフトであっても非常に重要なものです。トラディショナルなデザインはあっても現代にあうものには進化していないのです。デザインが現代的に進化していなければ、いくらサポートしても現代生活の中で息づくことはできないし、生き残っていくことはできません。

インド国内の伝統産業の多くの職人は歳をとって亡くなってきてしまっています。でもルイビトンなどグローバルなブランドでは著名なデザイナーはインドにきて伝統的モチーフにインスパイアーされて次々と新しいデザインを生み出しているというのも事実です。そうしたデザイナーをIDFに呼びインド国内の若いデザイナーの卵達に話してもらったりしています。そうすることでグローバルなプラットフォームがインド国内のデザイナーも得ることができるのです。デザインのアイデアや、どうやって実際のプロダクトデザインがおこなわれるのか、ビジネスになるのかといったことを、たとえばプラダのシニアデザイナや、アメリカのデザインスクールのトップなど世界のデザイン産業のトップランナーに来てもらって説明しもらったりすることで、インドの若い人たちも世界のトップレベルの人たちから学ぶことができます。またそういったことから実際にコラボレーションが生まれたこともあるのです。ムンバイのサリーの産業とパーソンズがコラボしたりもしました。

また私自身がインド政府と政策に関して密に仕事をしていた経験も生きています。大きなインパクトを生み出したければ政府を巻き込むことも大事です。規則・政策の変更や時には法律を変えることによってより大きな変化をもたらすことができるのです。1つ1つの動きではとても小さな変化しか起こすことができないのです。これは私の基本的信条です。

KAMA AYURVEDAの設立

谷家:KAMA AYURVEDAの設立の経緯を教えてください

Rajshree:健康は私にとってもとても大事な問題です。私はコインバトールにアーユルヴェーダの会社を作りました。その時私のとても親しい友人から、デリーから3人の若者がやってきて何か新しいビジネスとパートナーを探しているということで紹介を受けました。当時アーユルヴェーダについて全く知らなかった3人に、私はアーユルヴェーダのすばらしさを伝えました。彼らはアーユルヴェーダをとても気に入り、KAMA AYURVEDAの化粧品を世界水準の製品にしたいと思ってくれました。これは私にとってもとても喜ばしいことでした。小さな出会いから大きなことを引き起こすことできます。彼らの力を借りながら、もしきちんとした方向性で努力をすればアーユルヴェーダの素晴らしい商品を世界に広めることができるとおもいました。

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