もう一度無邪気に世界をみてみる、モーリス・センダック
みんな大好き「かいじゅうたちのいるところ」
モーリス・センダックの名前は知らなくてもこちらの「かいじゅうたちのいるところ」という絵本は映画にもなったのでこの絵に見覚えがある人は多いのではないでしょうか。センダックはアメリカの絵本作家です。
お母さんに怒られて寝室に夕飯無しで閉じ込められたマックスが船で旅にでてかいじゅうたちの島にたどり着き、そこでかいじゅうたちの王様になり、また自分の寝室にもどってくるまでのお話です。このお話はどの子供も大好き!そして1人で船にのってかいじゅうの島に出かけるという冒険心や、ちょっと怖いけどユーモラスかいじゅうたちとマックスのシンプルな会話や、その時々でころころと変わる子供の感情や楽しい絵が大人になって読んでもとても新鮮。
手放せない小さな本箱
センダックの魅力は一目でわかる独特な漫画のような子供の絵と、ナンセンスな会話です。主人公の男の子は聞き分けのいいよゐこではなく、だいたいずっといやだ、いやだ、といっていたり、いう事をきかなくてライオンに食べられてしまったりしますが、たんたんとユーモラスな日常がイロジカルに進んでいき、最後はちゃんと上手くいきます。
子供ってこうだったよな、と思ったり、自分の子供の時もなんか日常ってこんな風にいろいろな事が起こっていてでも最後にはちゃんとベッドに戻って眠っていたなあ、とか忘れていたその感じを思い出す本です。私は子供時代には現実世界と夢の世界をこともなげに行ったり来たりしていました。
「チキンスープライス入り」を読んで以来私はチキンスープを飲むときは必ずセンダックのこの本を思い出します。「ピエールとライオン ためになるお話」はまったくためにならない可愛い物語。
あなたは靴があったらなにをしますか?
一番私が気に入っているのはこの「くつがあったらなにをする?」です。くつがあったら皆さんは何をしますか?たいていの大人はそんな質問は考えもしないし、答えは「靴があったら履く」でしょう。でもこの男の子は耳にひっかけたり、頭にのせたり、バターを塗ったり。
そうそう、今は考えないけれど子供の時はあれこれ考えていたようなこと。普段みている世界と違う世界がレイヤーのようになって広がっています。そっち側にちょっといってみるのが楽しい。大人になってその入り口を忘れてしまっている時にでもセンダックはさっとその扉を開けてくれます。馴染みの別の世界にちょっと避難してみたり、旅にでてみたり、居場所があるっていうのはいいものだなとおもうのです。
マインドフルネスな一日を。
(Rika Taniya)